都道府県格付研究所

統計コラム:統計の視点-愛知県は運転マナーもワースト1位?

このコラムは、該当年におけるランキングの結果をもとに記述しています。皆さんが統計に親しむ一助になれば幸いです。なお、当研究所独自の推論や憶測を含む場合があります。また、内容が最新のランキング結果とは必ずしも一致しない場合があります。

こんにちは、当研究所の研究員・都道府ケンシロウです。

ランキング地図私が愛知県に住んでいるとき、愛知県警は毎年のように「愛知県は交通事故死者数で全国ワースト1位」という言葉とともに、交通安全を呼びかけていました。

某大手自動車メーカーの城下町である愛知県は、リーマンショックの影響で一時1位から転落したこともありましたが、交通事故死者数においてワースト1位の常連です(交通事故死者数ランキング)。

加えて、交通事故負傷者数ランキング交通事故件数ランキングでも、愛知県は上位にランクインしています。

このような状況から、愛知県警が交通事故死者数ワースト1位をアピールし続けたこともあり、いわゆる「名古屋走り」と言われるように、愛知県民は「自分たちの運転マナーが日本一悪い」と思い込んでいます。本当にそうなのでしょうか。

愛知県民は、いい意味(?)で愛知県警に騙されていると思います。

某大手自動車メーカーの影響からか、愛知県の自動車の台数は日本一となっています(車両登録数ランキング乗用車数ランキング)。観賞する目的だけで自動車を所有している人は少ないでしょうから、公道を走る自動車数も必然的に増えることになります。

愛知県民は人並み外れて反射神経が良いとか注意力が高いということはありませんから、人口が多ければ死亡者数も多い(どちらも東京都が1位)のと同様に、自動車の台数が多ければ交通事故も多くなるのは当たり前の結果なのです。愛知県民の運転マナーが日本一悪いから、交通事故が日本一多いとはいえないのではないでしょうか。

つまり、愛知県が交通事故を減らす最も有効な方法は、自動車を買わずに自動車の台数を減らすことなのですが、そんなことを声高に叫ぼうものなら、愛知県では職を失うかもしれません。

ところで、本当に運転マナーが悪い(≒事故が起きる可能性が高い)都道府県はどこでしょう。ランキング地図当研究所では、全死亡者のうち交通事故による死者の割合を示す死亡者1千人あたりの交通事故死者数ランキングをはじめ、自動車等1万台あたりの交通事故死者数ランキング自動車等1万台あたりの交通事故負傷者数ランキングを公開しています。すでに真のワースト1位であることに気付いている香川県の県警でも、「全国ワースト1位」をアピールして交通事故の減少に努めているようです。

ちなみに、人口10万人あたりの交通事故死者数ランキング人口10万人あたりの交通事故負傷者数ランキングでも愛知県は上位にランクインしておらず、交通事故に遭遇する確率自体、愛知県警が警告するほど高くないことが分かります。

なお、交通事故は全国どこでも少ないほうが望ましいので、愛知県警の「交通事故死者数ワースト1位」アピール自体は、ウソでもなければ、間違った行為でもないと思います。若干の誤解はともなうとしても、統計や分析により運転の注意を促し、少しでも悲しい事故を減らすべきと考えます。

死亡者1千人あたりの交通事故死者数ランキング トップ5
1香川県9.81 100%100% 111 11,316 79.7E
2福井県8.45 86%86% 74 8,757 69.5D
3滋賀県8.16 83%83% 97 11,884 67.4D
4三重県7.94 81%81% 153 19,271 65.7D
5岡山県7.60 77%77% 155 20,407 63.1D
死亡者1千人あたりの交通事故死者数ランキング地図
自動車等1万台あたりの交通事故負傷者数ランキング地図
自動車等1万台あたりの交通事故負傷者数ランキング トップ5
1佐賀県160.7 100%100% 74.5-
2福岡県155.9 97%97% 73.0-
3静岡県150.9 94%94% 71.4-
4香川県146.5 91%91% 70.0-
5大阪府128.0 80%80% 64.2-
交通事故死者数ランキング トップ5
1愛知県235 100%100% 75.5-
2北海道200 85%85% 69.2-
2埼玉県200 85%85% 69.2-
4東京都183 78%78% 66.1-
5大阪府182 77%77% 65.9-

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